奄美の台風及び自然災害時の取材・撮影素材提供に対する声明
奄美テレビ放送株式会社(以下「弊社」という。)は、災害発生時、奄美群島民の人命・財産・尊厳を尊重し、離島地域で安心して暮らせる社会の実現をめざし、地域ケーブルテレビ局としての役割を果たすべく、放送・ネットでの災害情報・避難情報発信等注意喚起に努めています。弊社は、東京キー局、及び系列局等、都会型テレビ局(以下「都会局」という。)における、災害報道時の取材・素材提供についての報酬のあり方を問題視しており、それに係る要件等について検討をお願いしたいと考えております。
台風銀座といわれる奄美群島にとって、都会局による台風情報は十分であるとはいえません。例えば、天気予報は沖縄・鹿児島の予報はあるものの、その中間に位置する奄美群島は省略されている場合が多く、奄美群島民は名瀬測候所やインターネット等から台風情報を取得することが慣習となっています。都会局の皆様には、奄美に台風が来襲したときに奄美に押し寄せ、私たちが被害にあえいでいる姿を報道するのではなく、台風や天気予報など含め、奄美群島民が災害にあわないための情報発信のあり方を検討していただきたいと思います。弊社は、事前の台風情報が伝わってこない現状を補う意味と、地元ケーブルテレビ局の役割として、可能な限り台風等災害情報を詳細に取材・放送することで、奄美群島民の各種災害に対する対策及び注意喚起に努めているところであり、災害発生時には少人数の地元採用スタッフが、企画・編成・取材・撮影・放送に追われるかたちで緊急報道をおこなっています。今回は、台風5号来襲の最中に起こった事象について、どうしても皆様にわかっていただきたく、この様な声明という形で弊社の思いを発表させていただきます。
奄美が台風の暴風圏内に入り対応に追われている最中、都会局から災害時の映像・写真素材提供のご用命やお問い合わせを多数いただきました。弊社は奄美群島の現状が広く全国に放送されれば幸いと、素材提供の準備を進めさせていただきました。しかし、お問合せいただいた都会局のご用命は、報酬が発生しないかたちでの映像・写真素材の要求でした。都会局の方々は、その全国放送の強みから「クレジット表記する」旨のお話をされるのですが、そもそもクレジット表記では被災した弊社にとってなんの支援にもならず、まさに今被災している弊社や奄美群島民の痛みを軽視した言動であることを、心に留めおきいただきたくお願いしたいと思います。

又、弊社が、映像・写真素材の提供に対して有償であるとしたことが原因なのかもしれませんが、今回SNS等に投稿された一般の方々の映像・写真素材が、多く報道番組に採用されました。しかし、今後、災害時の映像・写真素材が、都会局で採用されることを期待して、一般の方々がすすんで危険地域に近づいたり立ち入ることにならないか、大変危惧しております。さらに、今回の撮影物の著作権利用等について、地元一般の方々はしっかりとした説明を受けていないことも問題視しております。そもそも一般の方々は著作権に対しての知識が乏しく、その著作物に対する価値を認識しておりません。その状況下、著作物の無報酬利用の承認を口頭でとりつけ、その撮影素材を様々な番組で利用している現状に対して激しい憤りを感じております。今回SNS等に写真などを投稿された方々も、自身やその家族・親戚・近所の皆さんが、少なからず被災しており、そんな被害をこれ以上増やさないようにと身の危険を顧みず撮影・投稿していることをご理解いただき、その報酬的処遇についても考慮いただきたいと思います。又、一般の方々の映像・写真素材を今後も利用するなら、何らかの過剰な危険取材行動をとる前に、一般の方々への危険地域撮影指導を実施していただくことはもちろん、危険地域での撮影賠償責任保険等の保険をかけるなど安全対策について検討いただきたいと考えます。

毎年、何度となく襲来する奄美群島の台風災害について、奄美群島民は慣れやあきらめにも似た感覚で対応しておりますが、決して無被害・無損害なわけではありません。今後は、地方の著作物を軽視することがないようご配慮いただき、被災地の取材活動によって、被災地が救済されるより良い報道のありかたを検討していただきたく強く要望します。

2017年8月7日 奄美テレビ放送株式会社 代表取締役社長 常田圭一